理事長所信

  • はじめに
  • 地域創造事業
  • 青少年育成事業
  • 国際交流事業
  • メンバーに向けて
  • おわりに

第61代 理事長 並木 勇樹

 夢を描く

~ 誰もが自分らしく幸せを育むことが出来る社会へ ~

はじめに

 

 青年会議所は「明るい豊かな社会」の実現を目指しています。社会をより良くしていきたいという思いは日本中に広がり、ここ春日部、杉戸、宮代にも「春日部青年会議所」が設立され、本年60年の節目を迎える事となりました。今日に至るまで多くの皆様にご協力いただき運動を続けられたことに心よりの御礼を申し上げます。
 社会をより良くするためには、障壁となる課題を解決しなければなりません。日本の青年会議所運動は戦後まもなく始まりました。生きる事に必死であった厳しい中でも、今後の社会をより良くしていくのは自らの役割だという強い使命感を持ち立ち上がった青年たちは必死に課題に立ち向かっていきました。その力強い未来への一歩は今も受け継がれています。青年会議所運動の本質はこの「社会の課題を解決する」ことにあります。当事者である私たちは、より良い未来の為に今ある課題と向き合い、自ら行動に移さなければなりません。全ての人たちの明るい未来の為に、本年も運動を展開してまいりましょう。
 私には夢があります。それは、誰もが自分らしく幸せを育む事が出来る社会を作る事です。どの様な立場の人でも、生き生きと暮らし活気に満ちた人たちで溢れた地域を作る事が出来ればどんなに素晴らしい事でしょう。一度きりの人生を精一杯過ごし、皆が幸せを育む事が出来る。これこそが理想とする明るい豊かな社会であると考えます。
 しかし、その理想とする社会を実現するためには多くの課題を解決しなければなりません。近年は、技術の進歩によって誰もが多くの情報に触れる事が出来るようになり、見えなかったものが見えるようになりました。それは国内だけでなく広く世界ともつながっています。
 その結果、何かと常に比べられる事を強いられる世の中になりました。情報が民主化される事は決して悪い事ではありません。しかし、今まで感じていたものが実は違っていた、何かと比べた自分はこんなにも劣っている、といったマイナスな感情を持ち、その環境に対応出来ず自信を無くしてしまう人たちも多く生んでしまっています。この地域においても例外なく、状況はより加速していく事でしょう。
 そのような状況では「自分はダメだ、何をやってもうまくいかない」と未来を悲観し幸せを育む事は出来ません。活気も薄れ格差も生まれてしまうかもしれません。その歪みは社会を分断し、地域に暗い影を落とし続ける事になるでしょう。
そのような時だからこそ、私は夢を持つ事が何よりも必要であると強く伝えたいと思います。夢は、常に前向きです。そして、自ら出てくる純粋な意志です。実現するためには自ら考え、自ら決断し、自ら行動していかなければなりません。つまり、主体性をもって行動しなければならないのです。夢を持ち実現に向かうという事は、前向きに主体性を持ち行動する事と同じであります。
 例え、困難があったとしても、夢を持つことで乗り越えていく事が出来るはずです。何かと比べられたとしても、気にも留めず自分の進むべき道を歩むことが出来るはずです。
 それは、これからの社会を誰もが自分らしく幸せを育み生き抜くうえで必要な事であると考えます。青年会議所の始まりも、明るい豊かな社会を実現するという夢を持った事がきっかけになったのではないでしょうか。
 今一度、原点に立ち、夢を原動力とし希望溢れる未来の為に活動してまいりましょう。

地域創造事業

 

私たちの生活する、春日部市・杉戸町・宮代町は合わせると人口が約30万人。都市と自然が存在する魅力あふれる地域です。休日はショッピングモールで買い物をする家族や、大型レジャー施設で遊ぶ人たちが見受けられます。しかし、時間の経過とともに少しずつ活気を失っているように思います。特に、近年はコロナウイルスの影響もあり昼夜問わず行きかう人の姿が少なくなり、停滞感から諦めの様な後ろ向きの気持ちを感じます。ではどうすればいいか。私は、この地域を目的地として多くの地域外の人たちを呼び込む必要があると考えています。国勢調査によれば、この地域に滞在する人口の約98%以上が同地域か近しい県内市町村からの人たちで占められています。これは、まだ多くの人たちをこの地域に呼び込める可能性が大いにあるという事です。活気は賑わい、賑わいを作るのは人です。多くの人が集まれば賑わい活気のある地域となるでしょう。人口減少社会において自然的に人口が増える事を期待するのは難しいと思います。生活環境や働き方の問題など複数の課題が絡み合い起きてしまっている事で、簡単に解決できるものではないからです。先に述べた通り、私たちの住まう地域には多くの魅力的な資産が存在しています。魅力あるものには人が集います。その魅力をまとめ、企業、団体、個人問わず、皆で協力し賑わいをつくる機会を創出してまいりましょう。その賑わいが良い循環をうみ、夢を持ち前向きになるきっかけとなるはずです。

子ども達へ愛を届けよう

 

日本の子どもたちは、他国の子どもたちと比較すると、自己肯定感が非常に低いという現状があります。実施された調査によれば、日本の子どもたちの自己満足度は他国の子どもたちの3分の1以下となっています。この低い自己肯定感は様々な要因により引き起こされていますが、日本の教育制度や社会文化の影響が考えられます。競争を重視した教育環境では、成績や評価が強調され、それが自己評価に大きく影響します。また、日本社会には他人との比較や他者からの評価を重視する風潮があり、これが子どもたちの自己肯定感を低下させる原因となっています。

私は、自己肯定感を高めるためには「承認」が重要だと考えています。子どもたちは、自分を認めてくれる人や環境が必要で、失敗したとしてもその挑戦を評価されること、自分自身の努力を認められることが大切です。これらの体験が子どもたちに安心感を与え、新たな挑戦へのきっかけを生むのです。そのような環境は、子どもたちの承認欲求を満たし、「自分はありのままで大丈夫」という自己肯定感を育てます。継続的に子どもたちに愛を注ぎ、多くの体験を提供することで、彼らの成長を見守って行きましょう。

青少年育成事業

 

未来を担う青少年には、将来夢を描き主体性をもって行動する事が出来るようになってほしいと考えます。そのような人たちが多く存在する事で、自分らしく幸せを育める環境が醸成されるでしょう。しかし、日本財団が成人となる18歳を対象に行った国や社会に対する意識調査の結果を見ると、将来について「良くなる」と回答したのはわずか15%ほどであったそうです。「少子化」や「経済成長」といった課題は見えているにも関わらず、課題を解決しようという考えに至っていない、つまり他人事になってしまっているのではないでしょうか。本来、課題に直面するのは自分たちです。自分ごとと捉え立ち向かわなければ明るい未来はありません。これは、成人に至るまでの環境が影響していると考えます。○○をしなさいといった指示や、失敗しない様に手厚くサポートを受ける「与えられる環境」に慣れてしまうと、誰かがやってくれるだろうという考えに至ります。受動的な環境では主体性も夢を持つことも薄れていってしまいます。そこで、夢を描き実現する事の大切さを知る機会を提供してまいります。夢の実現には、自分の考えを表現し、自分が物事を決めていく事が必要です。例え失敗したとしても、自らの決断であれば自信につながる事でしょう。そのような経験は物事を自分ごととして捉え主体性をもって行動する力になるはずです。自ら考え、自ら決断し、自ら行動できる事で、将来はより良くすることが出来る!と考える青少年が増えていくことでしょう。
私たち大人も要求ばかりで他人まかせにしている事は無いでしょうか。誰かにやってもらうのではなく自分がやる。そんな理想を実現できる力を青少年には持ってもらいたいと思います。

国際交流事業

 

昨今、世界各地で争いが多発しています。どんなに主張が正しいとしても、大切な人を傷つけ失ってしまう事になれば、憎しみとして残り、次の争いを生みます。日本もかつて戦争を経験しています。私の祖父は戦争経験者で、左肩に銃弾を受けた話をしてくれました。子供ながらに絶対に戦争はしてはいけないと思った事を覚えています。青年会議所では、恒久的な世界平和を目指し様々な国際交流事業を行なっています。春日部青年会議所では、「パサディナホームステイプログラム」という、本年で40年目を迎える歴史ある国際交流事業を行なっております。この事業は、アメリカ・カリフォルニア州パサディナ青年会議所と多くの友情を育む事に寄与してきました。文化が違っても、相手を受け入れ思いやる気持ちを持つことで生まれる友情を育む事が出来れば争いは起きないでしょう。本年は、日本にパサディナ青年会議所のメンバーを迎え入れる年となります。今日まで続く互いの友情をこれからも育んでいくために、多くのメンバーで協力し本事業に取り組んでまいりましょう。
そして、この国際交流事業は地域の青少年に国際的な視野を持っていただく目的もあります。グローバル化が進んだ現代では国内だけでは生活は成り立ちません。国境を超えた協力が必要とされています。しかし、日常的に他国の方々との交流が少ないという課題があります。多感な年代での経験は人間形成に大きな影響を与える事から、早い段階で他国の価値観に触れる事の出来る経験は、国際的な視野を広げるきっかけとなるはずです。より多くのきっかけを提供出来るよう、事業の意義を伝え、沢山の参加者を募ってまいりましょう。

メンバーに向けて

 

今日に至るまで、多くの人がより良い社会の実現を夢に青年会議所の活動に取り組んできました。社会の課題は時代が変わっても存在し続けるでしょう。私たちはその事を忘れることなく、今後も青年会議所運動が続いていくよう努める必要があると考えます。
その為に、まず必要なのは会員の拡大です。人の行動は「価値観で決まる」と言われます。ごみの放置は良くない、という価値観を持っていればその人はゴミを拾うはずです。また、生きる為には何をしても構わない、という価値観を持っていれば、危害を加える事を厭わないでしょう。この様に、持つ価値観で行動が決まるのです。会員拡大とは青年会議所の価値観を共有する事であると私は思います。自由・平和・個性を大切にし、奉仕の精神を持つというこの価値観を持つ人たちが地域に増えれば増えるほど、他を思いやり行動する人で溢れより良い社会となるはずです。共感する事を大切に、多くの仲間を募ってまいりましょう。
そして、運動を次世代に託す意識を持つことです。本年、春日部青年会議所は60年の節目を迎えます。歴史を振り返ると、未来への道を切り開いてきた先輩諸氏へ感謝をせずにはいられません。そして、バトンをしっかりと受け渡して来たからこそ今があることがわかります。私たちも当事者として次世代に運動をつなぐ責任があります。この過去と未来をつなぐ節目をきっかけに、改めて地域のより良い未来の為にバトンを受け継ぐ意識をもってまいりましょう。

おわりに

 

私自身、夢を追いかけることで困難を乗り越え成長する事が出来ました。辛く大変だった時も一歩ずつ前に進ませてくれ、落ちこんだとしても気持ちを奮い立たせてくれました。夢は行動の原動力です。大きな時代の転換点には必ず関係しています。人種差別に立ち向かったマーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏は、夢を描き、夢を語り、夢の力で公民権を勝ち取りました。ワシントンで行われた集会には約20万人もの人が集まったと言われています。「I have a Dream」で有名な演説はより多くの共感を生み、人々の心を動かしました。夢を持つことで社会を動かしていったのです。私は、誰もが自分らしく幸せを育む事が出来る社会を夢見ています。共に希望に満ちた未来を創ってまいりましょう。

 

1年間、どうぞよろしくお願いいたします。

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